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SPARKLEJOURNAL / 日本のひとこま

街を歩く。ものを知る。 日本の旅と暮らしを、もう少し身近に。

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お土産

招き猫から北斎まで Tシャツの図柄をもう一歩楽しむ

招き猫は何を招く? 大波の向こうの富士山は見つかる? お土産の図柄から、願い、浮世絵、物語の世界をのぞいてみます。

日本語の全文記事です。英語版は要約です。

浅草の提灯の写真。本文で扱う美術作品や図柄の商品写真ではありません
カネトミ公式サイト掲載の浅草の写真。撮影時期不明。本文で扱う美術作品や個別商品の図柄は転載していません。

猫が手を上げている。大きな波が立ち上がっている。骸骨がこちらをのぞいている。お土産のTシャツを眺めていると、ずいぶん違う絵が同じ場所に並んでいることに気づきます。共通するのは、絵の向こうに、もう少し知りたくなる話があること。意味を全部覚えなくてもかまいません。気になった図柄をひとつ選び、そこから日本の文化をのぞいてみましょう。

運営:株式会社カネトミ(SPARKLE運営会社)。SPARKLEオンラインショップへのリンクは、自社商品のご案内です。 公式資料等をもとにした記事であり、現地取材の報告ではありません。

招き猫は 何を招いているのだろう

招き猫は、商売繁盛などの願いを託す縁起物です。GO TOKYOの案内では、右手を上げた猫は金運、左手を上げた猫は人との縁を招くものとして紹介されています。「そうすれば必ず幸運が来る」という約束ではなく、暮らしの中で親しまれてきた願いの表現として見ると、身近に感じられます。

ただ、手の左右だけを覚えて、すべての猫の意味を決めつける必要はありません。見ている自分の右なのか、猫自身の右なのかでも、最初は迷うもの。まずは猫の立場で左右を確かめ、表情、小判の有無、書かれた文字を順番に見てみましょう。説明が添えられていれば、その作品や作り手の言葉も手がかりになります。

SPARKLEの招き猫の図柄には、「東京」という文字が入っています。頭より高く上げた手に、広い世界から富を招くという意味を添えているのは、このデザインでの表現です。招き猫すべてに共通する、決まった歴史的な意味とは分けて楽しんでください。

出典:GO TOKYO Tokyo Travel Guide 2024 江戸のラッキーアイテム 8–9頁

鶴と亀 松竹梅 幸せを願う形

鳥や植物が集まった模様を、少しだけゆっくり見てみましょう。鶴、亀、松、竹、梅。こうした組み合わせは、ただ余白を埋めるために選ばれたのでしょうか。

佐賀の徴古館が所蔵する江戸時代中期の碁盤には、鶴亀や松竹梅などが描かれています。館の解説は、婚礼にふさわしい吉祥模様として紹介しています。吉祥とは、めでたいことや良い兆しのこと。遊びの道具にも、持ち主の幸せを願う絵が添えられていたわけです。東京国立博物館の展示記録からも、能装束や扇に使われた吉祥模様をたどれます。

長生きや健やかな暮らしを願って絵を選ぶ気持ちは、贈り物を選ぶときにも重なります。動物が実際に何千年も生きるという説明としてではなく、大切な人に元気でいてほしいという気持ちの形として眺めてみる。そうすると、にぎやかな模様が、少し違って見えてきます。

出典:徴古館 梨子地松竹梅鶴亀蒔絵碁盤 碁笥添 · 東京国立博物館 能のデザインにみる吉祥模様 2014年の展示記録

大きな波の向こうに 小さな富士山がある

葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」は、「冨嶽三十六景」の一図です。すみだ北斎美術館は1831年頃の作品としています。まず大波に目を奪われますが、その向こうには小さく富士山が描かれています。波だけを覚えていた人は、富士山を探すつもりでもう一度見てみてください。

波間には船もあります。美術館の解説によれば、江戸へ鮮魚を運ぶ押送船です。名画の中には、山と海だけでなく、働く人の世界も入り込んでいます。波の形、船の向き、遠くの山。どこから見るかで、同じ一枚の印象が変わるのが面白いところです。

同じシリーズの「凱風快晴」は、通称「赤富士」。こちらも同館は1831年頃としています。山が赤く見える様子は、夏から秋の早朝の光を捉えたものと考えられています。同じ富士山でも、大波の間から見える小さな姿と、画面に大きく広がる姿では、受け取る空気がまるで違います。どちらにひかれるか、自分の好みから見比べてみましょう。

出典:すみだ北斎美術館 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 · すみだ北斎美術館 冨嶽三十六景 凱風快晴

巨大な骸骨は 歴史と物語の境目に

歌川国芳の「相馬の古内裏」として知られる作品では、巨大な骸骨が、破れた御簾の向こうから現れます。1840年代の三枚続の版画で、制作年代の細かな見積もりは美術館の資料によって幅があります。三枚をつないだ横長の画面に、骸骨が大きく広がる構成です。

題材は、平将門にまつわる出来事を背景に育った物語。将門の娘・滝夜叉姫が骸骨を呼び出し、大宅太郎光圀に立ち向かう場面として描かれています。ここで楽しみたいのは、史実として骸骨が現れたかどうかではなく、歴史上の人物にまつわる話が、後世の想像力でどのように広がったかということです。

絵を見るときには、人の体と骸骨の大きさを比べたり、暗い背景に骨がどう浮かび上がるかを追ったりしてみてください。「怖い」「格好いい」「ちょっと可笑しい」。感じ方が違っていてもかまいません。物語の入口になる絵には、一つの正解に収まらない楽しさがあります。

出典:Spencer Museum of Art 国芳の骸骨の三枚続 · 東京都美術館 The UKIYO-E 2020 作品リスト 446 相馬の古内裏

文字も 絵のように眺めてみる

文字のTシャツなら、まず何と書いてあるかを確かめてみましょう。「東京」「一番」のような言葉も、字の太さ、並べ方、余白によって印象が変わります。意味が分かる人と、形にひかれた人が、同じ一枚を選ぶこともあるはずです。

意味を聞かれたときは、無理に大きな精神論へ結びつけず、書かれた言葉をそのまま伝えるところから。「東京」は地名、「一番」は順序や順位などを表す言葉。そこにどんな気分を重ねるかは、着る人の楽しみです。

贈る相手を思い浮かべるなら、幸運を願う猫がいいか、海の力を感じる波がいいか、物語を話したくなる骸骨がいいか。自分がその図柄を好きになった理由を、短いひと言にして添えてみる。お土産は、その会話と一緒に持ち帰れるものになります。

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図柄の歴史、伝承、SPARKLE独自の意味づけを区別して編集しています。作品の所蔵は、常時展示を意味しません。記事内の美術館解説は要約であり、画像の転載許諾を示すものではありません。